株式会社帝国データバンク(以下、TDB)は2023年12月18日から2024年1月5日までの景気動向調査を行い、その結果を公表した。ここでは、業界別の景気動向に絞って紹介する。
2023年12月の景気DIは前月比0.1ポイント増の44.9
TDBが調査した2023年12月の景気動向調査によると、景気DIは前月比0.1ポイント増の44.9に達し、3カ月連続で小幅ながらも改善しているという。
年末需要が堅調だった一方、暖冬による季節商品の不振や自動車メーカーの不正問題などがマイナスに繋がった。
業界別のポイントは以下の通り。
◆運輸・倉庫:前月比0.7ポイント増
各種イベントが景況感を押し上げ、トラック輸送やタクシーなどで年末需要を実感する声が目立った。ドライバー不足をはじめとした懸念材料は多いが、荷受けの運賃改定受け入れが増加するなど、前向きな意見も寄せられた。
◆小売:前月比0.3ポイント増と2カ月ぶりの改善
前月比0.3ポイント増と2カ月ぶりの改善。年末の書き入れ時に加え、インフルエンザの流行などで医薬品販売が増加したことも要因となった。一方、「自動車・同部位品小売」は前月比0.5ポイント減と逆風が吹く状況が続く。
◆サービス:前月比0.1ポイント増と2カ月ぶりの改善
忘年会による飲食需要が復活。冬期講習などの受験シーズンを控えた「教育サービス」も伸長した。一方、天候不順による雪不足、行楽地での人手不足が下押しし「旅館・ホテル」は前月0.7ポイント減と、4カ月ぶりに悪化した。
◆製造:前月比0.1ポイント減と3カ月ぶりに悪化
ダイハツ工業の不正問題の影響により関連部品の受注が停止。「輸送用機械・器具製造」は前月比0.5ポイント減と2カ月ぶりに悪化した。TDBの調査では8000社超の企業に影響を及ぼす可能性があると推計している。一方、酒類の消費が上向くなどの影響により、「飲食料品・飼料製造」は前月比0.6ポイント増と3カ月連続で改善した。
今後は横ばい傾向での推移が見込まれる
今後の景気DIについて、TDBの資料では「インバウンド需要の拡大が見込まれるなかで、賃上げの継続が焦点。特に、実質賃金の下落が続いている個人消費の行方がカギ」と指摘している。
今後の押し上げ要因として、GXの推進や企業の業績改善、経済対策の実施などはに注目する一方で、令和6年能登半島地震の影響が懸念される。また、人手不足の長期化や2024年問題に加えて、米欧中など海外経済の動きにも注視。金融政策の変更が予想されるなかで、インフレ率の動向のほか、金利など金融市場や金融システムへの影響が注目されるとしている。
こうした状況を踏まえ、今後の国内景気は持続的な賃上げや金利動向などを受け、横ばい傾向で推移すると見立てた。
2024年に入り「物流問題の2024年問題」がいよいよ目前に迫ってきた。各社様々な取り組みを推進している一方、消費者側としては具体的な対策に踏み切れていない状況が指摘されている。EC事業者を円滑に進めるために必須となる物流業界の動向も踏まえ、今後の景気動向を追っていきたい。
調査概要
◆調査方法:インターネット調査
◆調査期間:2023年12月18日~2024年1月5日
◆調査対象:2万7143社
◆有効回答:1万1407社