こんにちは!
国内初のAmazon専門コンサルサービスを展開しているアグザルファです!
今回のテーマは「在庫パフォーマンス指標」です。
Amazonの魅力は何といってもAmazonの配送ネットワークを使ったサービス「フルフィルメント by Amazon(通称FBA)」!
FBAとは商品の保管から注文処理、配送、返品に関するカスタマーサービスまでをAmazonが全て代行してくれるサービス。24時間365日稼働していることから、FBAに納品すればいつ注文が入っても迅速に配送対応をしてくれます。
さらに、FBAを導入した商品は『primeマーク』が付与され、検索結果画面や商品ページに表示されるため、購買率向上にも期待できます。(弊社のクライアントにおいても、FBAを導入したことにより出品者側の作業負担軽減はもちろんのこと、売上拡大に繋がったケースがございます)
また、フルフィルメントセンターと呼ばれる配送拠点を国内におよそ45ヶ所(2023年中に新たに11ヶ所を設置予定)あることから、配送網の拡大および保管可能な在庫数が今後もますます強化されるのではないかと予想しております。
ここまでの話だと、「FBAを利用することで購入率も上がるし、注文や配送対応もしなくていいならFBAを利用すべき!商品をバンバン預けてしまえばいいじゃないか!」とお考えになられている方、いらっしゃいませんか?
一理ありますが、ここで一旦ストップ!
実は、Amazonには毎週月曜日に更新される「在庫パフォーマンス指標(IPI)」というものが存在しています。
日々の注文数の状況に適した在庫数を納品していれば問題ないのですが、注文数が思うように伸びず、FBAに在庫が溜まったままになると無駄な在庫保管料がかかってしまいます。
さらに、「在庫パフォーマンス指標」という数値が悪化し、当初予定していなかったセールの実施を余儀なくされるケースや、最悪の場合は ” 納品不可 ” および ” 返送 / 廃棄 ” の対応に陥ってしまう可能性もあります。
FBAを利用する上でこういった事態を未然に防ぐべく、今回の記事では「在庫パフォーマンス指標」の概要から確認方法、改善に向けた対策について詳しく解説いたします。
Amazonで売上拡大を目指すには重要な指標でございますので、本記事を参考に定期的に指標をご確認くださいませ。
「在庫パフォーマンス指標」の概要
そもそも在庫パフォーマンス指標とはどういうものなのでしょうか。
Amazonのヘルプページには下記のように記載されております。
在庫パフォーマンス指標(IPI)は、一定期間における在庫のパフォーマンスを測るための指標です。 出品者の在庫パフォーマンス指標のスコアは、人気商品の在庫を確保し、手持ち在庫を効率よく管理することにより、どれだけ売り上げを伸ばしているかに基づいて算出されます。
——Amazon 出品者のヘルプ
簡単にまとめると『Amazon出品者がFBAを利用するにあたり、十分な在庫を確保しつつも、無駄な在庫を抱えないように在庫管理ができているか』ということになります。 なお、この在庫パフォーマンス指標については「大口出品者のみ」が対象となり、小口出品者に関してはそもそもパフォーマンス指標の対象外となります。
「在庫パフォーマンス指標」の確認方法
続いて、在庫パフォーマンス指標をどこから確認できるのか解説いたします。
在庫パフォーマンス指標は、実はセラーセントラルのTOPページ画面上部(以下画像内の赤枠)に表示されています。
①セラーセントラル画面>在庫パフォーマンス指標
②矢印マークをクリックすると下記の画面が表示されますので、確認したいマーケットプレイスの「数字部分」をクリックし、指標を構成している各種項目の状態を確認してください。
(※今回の場合、Amazon.co.jpの数字部分をクリック)
以上のように、簡単に在庫パフォーマンス指標のスコア数値を確認することが可能です。
指標の見方や数値の目安については、次項で解説してまいります。
「在庫パフォーマンス指標」の見方と目安数値
【指標の見方】
在庫パフォーマンス指標の画面を開いていただけたらおわかりかと存じますが、パフォーマンスを確認するにあたりAmazonでは各項目ごとに4段階で判定され色分けしております。
この色分けにはもちろん意味があり、各色ごとで以下のような意味がございます。
・「緑」=非常に良い
・「黄緑」=良い
・「黄色」=注意
・「赤」=悪い
また、このパフォーマンスの右横に「(✔︎)チェックマーク」や「(!)ビックリマーク」がございますが、それぞれ下記を表しています。
・「(✔︎)チェックマーク」= 在庫パフォーマンス指標の項目において最も高い「緑」のグループのもの
・「(!)ビックリマーク」= 在庫パフォーマンス指標の項目において最も低い「赤」のグループのもの
つまり、「緑」のグループの項目を増やし、「黄色」や「赤」のグループを少なくすることで、自然と在庫パフォーマンス指標は向上することになります。
【パフォーマンス指標の目安数値と注意点】
色判定の意味を理解したところで、「在庫パフォーマンス指標」の重要なポイントについて解説をしていきます。
重要①:在庫パフォーマンス指標の目安数値は「400」
在庫パフォーマンス指標の数値を確認したところで、この数値の良し悪しを判断する必要があります。
実は、Amazonでは在庫パフォーマンス指標の “しきい値” が公表されており、 2021年10月1日以降「400」が一つの目安となっております。
よって、「400」より数字が大きいほどパフォーマンスが良いとされ、反対に「400」より数字が小さいとパフォーマンスが悪いとされ、状況によっては改善する必要があると判断できます。
重要②:パフォーマンス指標が低い(=400以下)場合は「在庫保管制限」の対象となる恐れあり
パフォーマンス指標が低い(=400以下)場合に注意しなければならないのが、「在庫保管制限」の対象となる恐れがあることです。
「在庫保管制限」は出品方法によって基準が設けられております。
①大口出品者
・2つのスコアチェックポイントのいずれかで在庫パフォーマンス指標のスコアを必要なしきい値以上に維持している出品者は、小型/標準サイズ、大型/特大型、服&ファッション小物、シューズの商品に対する在庫保管制限の対象にはなりません。
・両方のスコアチェックポイントで在庫パフォーマンス指標のスコアが必要なしきい値を下回っている出品者は、小型/標準サイズ、大型/特大型、服&ファッション小物、シューズの商品に対する在庫保管制限の対象となります。
②小口出品者
・小口出品の場合、0.28立方メートルの在庫保管制限が自動で設定されています。
参照:Amazon 出品者のヘルプ
要約しますと、大口出品者においては「パフォーマンス指標が400以上ならばFBA在庫保管制限の対象外、400未満になると、FBA在庫保管制限が適用される場合がある」ということになり、わかりやすくすると以下のようになります。
・パフォーマンス指標が400以上:FBA在庫保管制限の対象外
・パフォーマンス指標が400未満:FBA在庫保管制限が適用される場合がある
そして、FBA在庫保管制限の対象になってしまい且つ保管制限を超えた場合は、「FBA納品プランの新規作成が不可」および「在庫保管制限を超える納品は不可」となります。
在庫保管制限を超過して納品した場合、通常のFBA保管料金とは別で「在庫保管超過手数料」が発生する等、出品や費用の面においても非常に大きな影響を及ぼしかねません。
そのため、在庫パフォーマンス指標の数値の改善を行い、日頃よりしきい値「400」以上であることが非常に重要ということがおわかりになられたかと思います。
ちなみに「小口出品者」の場合は在庫パフォーマンス指標等関係なく、自動的に保管制限が設定されております。
なお、保管制限の対象となっている方で「後どのくらい納品できるスペースがあるのだろう?」と疑問に思われた方は、「在庫パフォーマンス指標」の画面を下にスクロールしていただくと、下に小さく「保管容量」と記載がありますので、そこをクリックしていただけたら確認可能です。
この機会に一度ご覧くださいませ…!
なお「在庫保管制限」については下記のAmazonヘルプページもあわせてご確認ください。 参照:Amazon 出品者のヘルプ
「在庫パフォーマンス指標」項目別解説と対策
ここまでの解説で「しきい値以下だった。。。」「納品できなくなってる。どうしよう。。。」とお悩みの方がもしかしたらいらっしゃるかもしれませんが、ご安心ください!
解決方法はもちろんございます。
貴店の課題を見直し、どこを改善すべきかを見極め、策を講じることで徐々にスコアは回復します。
では、在庫パフォーマンス指標の各項目ごとの解説に入る前に「パフォーマンス指標のスコアはどのように計算されているのか」についてまずは解説いたします。
在庫パフォーマンス指標のスコア計算方法
Amazonのヘルプページでは下記4つの視点が最も重要と説明がございます。
販売済み在庫と手持ち在庫の間で在庫レベルをバランスよく維持し、余剰在庫や長期在庫を回避すること。
長期在庫保管手数料を回避すること。
出品情報の問題を修正すること。
購入者の需要に応え、顧客満足度を最大化するために、人気商品の在庫を適切な在庫ありレベルに維持すること。
参照:Amazon 出品者のヘルプ
「長期在庫保管手数料」についても記載がございますが、総じて言えるのがやはり「無駄な在庫を削減し、売れ筋商品を適切な数量分揃えましょう」ということが重要であるということです。
改善するにあたり、これから解説する下記4つの項目を改善することでスコア上昇に繋がりますので、一つずつ見てまいりましょう。
項目説明と対策
在庫パフォーマンス指標は下記4つの項目で構成されています。
①余剰在庫の割合
②FBA販売率
③有効な出品情報がないFBA在庫
④FBA在庫ありの割合
それでは順番に各項目の説明と対策を解説してまいります。
①余剰在庫の割合
▼説明
一つ目が『余剰在庫の割合』です。
余剰在庫とはAmazonのシステムで需要予測に基づいて計算した結果、在庫保管日数が90日を超える商品を余剰在庫または過剰在庫とみなします。
余剰在庫が多いということは回転率が悪いことを示しており、保管期間が12カ月以上になる場合、長期在庫保管手数料が発生してしまいます。
▼対策
では、この余剰在庫を減らすにあたって具体的にどんな策をとれば良いのでしょうか。
主に下記3点が挙げられます。
1. 販売価格を下げて販売
2. 在庫処分セール/在庫処分タイムセールの実施
3. 返送/廃棄の対応
リアル店舗同様、「1.販売価格を下げて販売」、「2.在庫処分セール/在庫処分タイムセールの実施」のような値下げやセールを実施することにより、回転率が上がる可能性がございます。
それでも売れ残ってしまったり、季節もの商品で販売時期が限定的でピークを過ぎているというようであれば、費用はかかってしまうものの「3.返送/廃棄」を行うことで、結果的に費用を抑えられる場合もございます。状況に応じてご判断ください。
なお、FBAに長期間滞留してしまった在庫については「2.在庫処分セール/在庫処分タイムセール」で通常価格よりも安く販売するといったことも可能です。
ただし、すべての在庫に適用されるわけではなく、『余剰在庫の割合』の項目の右にある、『余剰在庫を減らす』ボタンをクリックした際に、下記画像のように『在庫処分タイムセールを作成する』と表示されてる商品が対象となります。
1. 『在庫のパフォーマンス』>『余剰在庫を減らす』
2. 対象商品には『在庫処分(タイム)セールを作成する』のボタンが表示されている
②FBA販売率
▼説明
二つ目が『FBA販売率』です。
Amazonのヘルプページには、『販売率は、過去90日間に(全在庫から)販売、出荷したすべての商品点数を、同じ期間にフルフィルメントセンターで出荷可能だった商品の平均点数で割って算出されます。』と記載されていますが、具体的に数値をあてはめてみると、下記のとおりになります。
・出品者が過去90日間に出荷した商品:100点
・出荷可能な平均在庫数:40点
FBA販売率=「出品者が過去90日間に出荷した商品」÷「出荷可能な平均在庫数」=100(点)÷40(点)=2.5
この数値が改善されることでスコアも改善されるのですが、もっとざっくり言うとすれば、FBA販売率とは『FBA倉庫に預けた商品がどのくらい販売されたのかを示す指標であること。スコアを改善するにはFBAにある商品をどんどん販売していくことが必要』ということになります。
▼対策
『FBA販売率』を改善するための具体的な対策例は下記です。
l 商品ページおよび検索キーワードのブラッシュアップ
l 広告グループへの追加
l セール実施
上述したとおり、商品をいかに回転させるかがこのスコアの鍵を握っています。積極的に露出強化を行い、商品購入に繋げることが必要となります。
検索キーワードが商品の露出拡大を行う上で適切なものとなっているか、商品ページが来訪者にとって魅力的な構成になっているかを意識しつつ、予算に応じてスポンサー広告を配信したり、セールに参加いただくことなども是非検討してみてください。
③有効な出品情報がないFBA在庫
▼説明
三つ目が『有効な出品情報がないFBA在庫』です。
これはFBA倉庫に商品はあるものの、出品ができていない商品のことを指します。
具体的な例を挙げると「FBAに在庫があるが、自社出荷扱いになってる」や「FBAに納品しているが、出品終了のステータスにしてしまった」「販売中だったが危険物審査に引っ掛かり、ページを下げられた」などが該当します。
▼対策
Amazonでは突如出品停止になることがありますが、出品停止に気づかず事態を放置することで、販売機会の損失を招いてしまいます。
そのため、例えば化粧品類や電池が必要な商品(電池が必要と見なされる商品)、医療機器マークがある商品などは事前にAmazonが定める提出物をご用意いただくことで、いつ何が起きても万全を期して対応にあたることができます。
もちろん提出しても審査を通過しないといけないため、すぐに出品再開できるという保証はございませんが、アラートが出てから提出物を用意して審査に出すよりも圧倒的にスピード感があるため、自社商品のカテゴリーにおいてAmazonで出品する際に気を付けるべき点を事前に把握しとくことが重要になります。
また、出品停止となっていても在庫保管費用は発生しますので、無駄な出費を減らす意味で早期解決を推奨いたします。アラート内容の確認方法については下記画像の【出品情報を修正する】もしくは【セラーセントラルのTOP画面にアクションとして表示】されておりますので、アラートが表示されていないか逐次チェックしていただくことを推奨いたします!
④FBA在庫ありの割合
▼説明
最後は『FBA在庫ありの割合』です。
こちらは注文が入り、売れている商品が在庫として残っているのかを示す項目になります。
売れているにもかかわらず在庫がないと、せっかくの売り伸ばし機会を逃してしまいますので是非確認しましょう!
▼対策
日々ビジネスレポートで売上を確認し、適切な在庫数を納品しておくことで、パフォーマンス指標を改善することはできますが、その他の業務に追われてしまい、なかなか在庫数まで確認することができない方も多いのではないのでしょうか。
Amazonでは売れている商品の補充推奨機能が備わっておりますので、下記手順を参考に在庫の補充を進めていただければと思います。
売り逃しのないよう積極的に活用しましょう!
・「FBA在庫ありの割合」の項目の右にある「今すぐ補充する」をクリック
・納品を推奨されている商品にはアクションの項目に「在庫商品を納品/補充する」のボタンが表示される
また、「FBA在庫ありの割合」は在庫切れ商品があるとスコア悪化の原因となることから、” 在庫が0点かつ納品予定がない商品”をSKUごと削除することでスコアが改善されます。
もしくは対象商品をFBA出荷から「出品者出荷(自社出荷)」に変換することで、評価対象外となりスコア改善に繋がります。
「もしかしたら再納品あるかもしれないし…」とお悩みの場合は、SKUの削除を実行するのではなく、自社出荷に切り替えの方が簡単に対応できますので是非お試しください!
※対応結果がパフォーマンスに反映するまで、7日ほど時間を要しますので予めご了承ください!
「在庫パフォーマンス指標」Q&A
Q:在庫パフォーマンス指標のスコアが表示されないのはなぜですか?
A:在庫パフォーマンス指標のスコアは、フルフィルメントセンターに在庫があり、アカウントに対して最近アクションのあった大口出品者のみが利用できます。
FBAの利用を開始したばかり、または過去13週間に商品を出品していない場合は、データが利用可能になるまで在庫パフォーマンス指標のスコアが表示されないことがあります。
もしくは、マルチチャネルサービスでのみFBAを利用し、Amazonストアに出品していない場合も、在庫パフォーマンス指標のスコアが表示されないことがあります。
Q:ASINを補充可能でない商品としてフラグを設定すると、在庫パフォーマンス指標のスコアにどのような影響がありますか?
A:出品情報を補充可能でない商品としてマークしても、在庫パフォーマンス指標のスコアには影響しません。
FBA在庫ありの割合の正確性を維持するために、割合の計算から該当のASINが除外されるだけです。
これにより、在庫ありの割合を最新の状態に保つことができます。手持ち在庫のパフォーマンスは、在庫パフォーマンス指標のスコアに影響します。
まとめ
今回はFBAを利用しているAmazon出品者の皆様にお伝えしたい、在庫パフォーマンス指標について解説いたしました。
簡潔にまとめると下記の通りとなります。
● 在庫パフォーマンス指標とは、『Amazon出品者がFBAを利用するにあたり、十分な在庫を確保しつつも、無駄な在庫を抱えないように在庫管理ができているか』を示すもの
● 指標がしきい値を下回ると「在庫保管制限」の対象となってしまい、最悪FBAに納品できなくなる恐れがある。
● 「在庫保管制限」を超えて納品した場合、「在庫保管超過手数料」が発生するなど、出品や費用の面においても負担が発生してしまう。
● 在庫パフォーマンス指標は『余剰在庫の割合』『FBA販売率』『有効な出品情報がない』『FBA在庫ありの割合』の4項目に影響を受けており、それぞれの項目に適した対応が必要となる。
在庫パフォーマンス指標は使い方によっては売上げアップのための改善ポイントが見つかるサービスとなります。
売れる商品の在庫数を確保し、売れない商品の長期在庫を減らしていくことで適切な在庫状態を目指しましょう!
最後までお読みいただきありがとうございました。